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地方の活力/個性ある地方へ 書籍:再考 ファスト風土化する日本 ~変貌する地方と郊外の未来~

再考 ファスト風土化する日本
~変貌する地方と郊外の未来~

著者:三浦 展
発行:(株)光文社
定価:900円(税別)

2004年、著者が上梓した「ファスト風土化する日本」の約20年後の続編。2004年の著作では、全国各地の主要道路の沿道に、大型ショッピングセンターや全国チェーン店が林立し、郊外にロードサイド型商店街の同じ風景が出現することの影響を語っています。地域の気候・風土・歴史に基づく独自の文化が消滅すること、都市型犯罪の郊外化など、著者が危惧した通りのことが現実に起きました。駐車場がない従来の商店街や鉄道駅前などは、軒並みシャッター街になっていきました。大型ショッピングセンターそのものが閉鎖することも多くなってきました。今回の著作では、20年の間に地方に何が起きたのかを、多彩な専門家が事例を基に解説するチャプターと、20年前とは違う今の時代、世相の中で、脱ファスト風土化への取り組みの胎動が始まっている事例を紹介するチャプターなど、ファスト風土化の次に来る地方の姿を考える上で、参考になる構成となっています。

日本中を席巻したファスト風土化の嵐が去り、人口減少がさらに進んだ今日、均一化された地方社会は、今後どう生きるのかを考える、今が大切な局面だと言えるのではないでしょうか。ファスト風土化が進んだ時代に生まれた若者のふるさとの原風景が、均一的、無機的なロードサイドの風景と言うのは、あまりにも悲しいとは思いませんか。