世界的に設計依頼が殺到している名建築家 安藤忠雄氏の作品が、山梨県にあることを皆さんご存じですか。安藤さんは、独学で建築学を学び建築士試験も一発で合格し、その後、独創的な建築物を数多く手がけて世界的にも著名な建築家の一人です。
その安藤さんが設計をした甲斐市にある竜王駅をご紹介します。竜王駅、自由通路、駅ローターリーの建造物は、三町合併により誕生した甲斐市の象徴、顔となる駅として計画されました。JR東日本の駅舎などのデザイン懇談会のメンバーであった安藤さん自らが竜王駅を訪れ、跨線橋から眺める富士山、八ヶ岳や周りの山並みなどを見て、設計を請け負うこととなったそうです。
この建築物のコンセプトは、旧3町を一つにつなぎとめる“鎹(かすがい)”、甲斐市北部が水晶の産地であったこともあり“結晶”、そして日本最古の治水工法の信玄堤の設置された“聖牛(信玄堤の治水柵)”をモチーフとして、甲斐市の自然と受け継がれてきた文化・歴史を体感できるようにデザインされています。
甲斐市竜王新町
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清春芸術村にある“光の美術館”も安藤さんの作品です。清春芸術村の創設者である吉井長三氏が愛した作家の一人で、ピカソの後継者とも言われたアントニ・クラーベ氏の作品を展示するために、安藤さんに設計を依頼したそうです。安藤さんは、クラーベ氏のアトリエからインスピレーションを得て設計したと言われています。安藤さんの作品の特徴でもあるコンクリート打ちっぱなしの建築物で、光の射し方や鋭角的な直線美が、展示されている作品と相まって幻想的な雰囲気を醸し出します。
紹介した2か所の貴重な建築物を、いつでも見ることができるのは、管理するお立場の方々の大変なご苦労により、維持されているからです。芸術や文化は、地方社会が存続していく上で重要なファクターです。安藤さんの作品群は、ル・コルビュジエ建築物と同様の価値を持つものとなっていくかもしれません。県民としてこの財産を、次世代にどう伝えていくかも、これらの名建築を拝見しながら感じた取材でした。
残念ながら当該建築物内には、お茶をするカフェはありませんので、美味しいお茶を持参の上で、四季折々の名建築を鑑賞してみてはいかがでしょう。