1986年1月に創業し、丸39年。まもなく40周年を迎える「甲斐ダイアログシステム」は、社名に込められた願いの通り、「ダイアログ=対話」を大切にするものづくり企業です。
「『甲斐ダイアログシステム』という社名は先代がつけた名前です。先代は自宅の養蚕室を改修して作業場をつくり、近所の工業団地をまわりながら徐々に仕事を増やしていったと聞いています。創業以来、我々が得意としているのは、業界にとらわれることなく、お客様のニーズに合わせたものづくり。卓上の小型装置から半自動機、大型の全自動装置まで、お客様と対話を重ねながら、オーダーメイドで設計製作を行っています。対話を大切にして、関係性から仕事につなげていくというのが、私たちのものづくりの原点にあります」と聞かせてくれるのは、常務取締役で製造部長の森塚和彦さん。同社は創業の4年後に「北工場」を完成させ、その後も工作機械を増やしたり、組み立て業務のための作業スペースを確保することを目的に「本社工場」を新設。また、2018年には大型装置の製作に合わせて「南工場」を新設しました。
「当社の強みは、生産設備のオーダーメイドの設計製作であり、売上の7割を占めています。『どのような装置をつくろうかと悩まれているお客様と、一緒に考えてつくる』ことこそ私たちのスタイルだと考えています。直接皆さんが目にすることはあまりないかもしれませんが、私たちの生産設備を用いて車やスマホ、OA機器などに用いられる部品が作られています。設計者が設計から組立調整、設置まで携わる体制をつくっていますので、正確に調整された装置の納品・設置が可能。また、ただ設備を作るだけでなく、使い始めてからの更新や改造などにも対応するなど、アフターフォローにも力を入れています」
20年以上前から半分以上は県外のお客様という同社。県外であったとしてもトラブル時には設計者が素早く対応。対話や関係性をとことん大切にすることで信頼を積み上げ、仕事を拡張していったことを聞かせてくれました。
チームで仕事を進めていくことが多いため、お客様との対話はもちろん、社内で行われる日々のコミュニケーションも大切にしているという同社。現在スタッフは62名。近年は、「採用」と「加工工程」に大きな変化の兆しがあるといいます。
「私たちの業務は専門性が高いため、これまでは中途採用(経験者採用)を主として採用活動を行ってきました。しかし近年、人材確保が難しくなり、新卒採用を開始しました。今では『新卒でも未経験でも皆で育てていこう』という社風が醸成されています。とはいえ、知識と技能が基礎のみでも備わっていることはとてもありがたく、甲府工業専工科の卒業生やポリテクセンターの修了生から積極的に採用させて頂いています」
設計の女性社員もポリテク修了生のひとり。前職では機械設計に携わっていたという彼女はポリテクで電気について学び、同社に入社をしました。
「求人票で見つけて、見学に訪れたのがきっかけで、メカ(機械設計)とエレキ(電気設計)両方にチャレンジできることを知って興味を持ちました。機械をゼロからカタチにしていける行程が面白く、周囲に同じような仕事をしている同性があまりいない点も魅力に感じています。今は前職同様メカ設計をやっていますが、今後はせっかく学んだのでエレキにも挑戦してみたいと思っています。構想から組み立てまで全部ひとりでできるようになりたいです」
同社の基本的な教育方針は、仕事をしながら学んでいくOJTを採用。その際、新人の教育担当には、マネージャーやリーダークラスの社員ではなく、中堅社員をアサインしているそうです。
「メリットは、新人が聞いたり相談したりしやすいこと。加えて、先輩側も教えることで技術や知識の定着、そして気づきを得られるということです。私たちの業務には機械と電気の分野がありますが、新人にはその両方を経験してもらい、本人の希望や適正に合わせて専門性を高めてもらえるようにしています」
また、OJTでの教育に加えて、外部セミナーを活用しているのも同社の人材教育の特徴。ポリテクセンターが企画している「自動化技術(ロボット導入関連)」などのコースを積極的に受講しています。「外部セミナーは、最先端の知識を体系的に学べます。セミナーを受講する従業員は『会社を代表していく』気持ちで、技術を持ち帰って社で共有することが重要なんです。ここでも、コミュニケーションを大事にするという私たちの方針が根付いています」
「甲斐ダイアログシステム」が得意とするオーダーメイド設計製作の第一歩はお客様との打ち合わせ。その後、社内でCADを用いて構想図を作成し、お客様に提案して受注となる。受注した後は、技術部でチームを編成し、チームで仕事に向き合っていくというのが一連の流れ。
「私たちの仕事はお客様のコンセプトに寄り添い、お客様が求めているものをゼロからカタチにしていく仕事。大型の装備になればなるほどひとりでできることは少なくなっていくこともあり、私たちはチームで仕事をしていくことを大切にしています。チームで一つの仕事に向き合い、チームで成果を上げていく。ですから協調性がある、もしくは協調性を磨いていく意思があること、人と協力・対話しようとすることこそ同社が求める人材です」
大きく変化する世の中の流れの中で新たな知識や技術を吸収することに柔軟である一方で、「対話からはじまる」ものづくりの原点をぶらすことのない同社。「お付き合いしていただければ良さがわかると思います」と力強く森塚取締役は語ります。