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人材不足と生産性向上

2050年に、生産年齢人口(現在の定義で15歳以上65歳未満)が、29万9千人まで減少する山梨県(2025年の44万4千人から約33%減少)。人材確保、世代交代が厳しい時代がこれから長期間にわたり続きます。今号は、労働市場の需給関係の厳しさが増す中、生産性の向上・改善を目的に社員教育に積極的に取り組む企業にフォーカスしました。社員教育だけで生産性が向上・改善するわけではありません。その先にある目的・目標の達成のため、各企業が取り組む社員教育の狙いについて、深く掘り下げます。

経営者対談

生産性向上支援訓練の
先にあるもの

企業・事業主の労働生産性を向上させるために、専門的な知見とノウハウを有する民間の教育訓練機関と連携し、ニーズに応じて、講義だけではなくグループワークなどの効果的な演習を取り入れて実施している『生産性向上支援訓練』をオーダータイプで活用している企業経営者の対談が実現しました。今回ご登場いただいたのはセブナグループ・代表取締役社長の一戸 亜土さんと、太陽電機株式会社・代表取締役の羽田 茂さんです。

太陽電機 株式会社 セブナグループ(株式会社セブナ装機・有限会社エー・アイ・エーブラスト)

太陽電機 株式会社 代表取締役 羽田 茂 さん  セブナグループ(株式会社セブナ装機・有限会社エー・アイ・エーブラスト) 代表取締役社長 一戸 亜戸 さん太陽電機 株式会社 代表取締役羽田 茂 さん
セブナグループ(株式会社セブナ装機・有限会社エー・アイ・エーブラスト) 代表取締役社長一戸 亜戸 さん

生産性向上支援訓練を活用し
始めたキッカケや、教育の目標は?

羽田さん東京都中小企業振興公社の経営者セミナーを受講した際に知り合った講師の方からポリテクセンターの生産性向上支援訓練を教えてもらったのがきっかけでした。最初の利用が2019年でしたから、もう7年になります。私は『ものづくりは人づくり』の考えのもと、『長期事業構想』の中の『社員の未来像』として『社会に貢献する人づくり』を掲げました。社員を仕事や社内活動、教育を通じて育て上げ、地域コミュニティーの場でも立派な人だねと言ってもらえるような人にしたいと思っています。

私たちの会社は機械化や自動化が難しい手作りのものづくりをしています。人に依存しているから人に投資をして、1番の基礎となる『人間力』の上に、技能や製造業に必要な安全衛生・品質・コスト・納期・環境を維持向上させる知識を身につけてもらえるように教育環境を整えています。

一戸さん弊社も2019年から利用させてもらっています。当時社長を務めていた父はワンマンな部分があったため、社員は自発的に考えない印象がありました。でも私は自ら考えることができる社員と一緒に働き、未来をつくっていきたいと考えていました。そんな時、ポリテクセンターの生産性向上支援訓練の案内を見たんです。とにかく費用が安くて『お得!』と感じ、試しにやってみたのが始まりです。教育の目的には『豊かな人生を送れる人になってもらいたい』という想いがあります。製造業では就職するとまず生産スキルを教えたがりますが、それ以外の情報やコミュニケーションなど多様なスキルもしっかり教えないと伸びていきませんから、そのためにも教育は必要だと思います。他にも弊社では挨拶や感謝、ごめんなさいという気持ち、信頼することや協力することを大切にしています。私は『働きやすい職場』をつくれば生産力が伸び、そこに数字がついてくると考えています。

生産性向上支援訓練
新オーダーコースのメリットは?

羽田さん郡内地域にある弊社からポリテクセンターまでは遠いので、講師を派遣してもらい社内で実施できるのは、移動時間や交通費も掛からず助かっています。しかも、受講人数は一度に10名程度と大勢なので効率も良く、なおかつ私たちの会社の文化や状況、課題に合わせて教育内容をアレンジしてもらえるのも有り難いです。開催日も調整できるので、お客様等に迷惑が掛かりませんし、受講料も安価で経済的負担感が無いのもメリットだと感じています。

一戸さん会社の理念や経営方針などを講師の方と共有し、それを学びの中に散りばめてもらえるのがすごく良いなと思います。弊社の社員は主に個別で働いているので、会話する機会がなかなか無いですし、社員の中にはコミュニケーションが苦手だから、製品と対峙して仕事ができる製造業を選んだと言う人もいます。ですが、セミナーを自社内で受け、グループワークなどをやることによって、個々のコミュニケーション能力も高まってきました。チーム力の大切さを実感しながら自分の役割を意識して考えられるようになったのも、オーダーセミナーだからこそのメリットだと思います。

材確保が難しくなる今後、
生産性の向上・改善の
重要性について

羽田さん人材採用難は大きな課題になっていますので、社員が辞めない工夫や雇用の長期化を図っています。社員が辞めない工夫としては『自分の居場所はここだ』という認識を持ってもらえるように、企業理念の浸透を図り、会社の明るい未来への道筋も見せることで希望を与え、また、業績を上げて昇給・賞与を増額して還元する努力もしています。65歳が上限だった雇用を70歳まで引き上げると共に、健康経営にも取り組み始めています。これらも生産性向上支援訓練がヒントになり実践していることです。

一戸さん私も羽田社長と同じで『居場所』という言葉を大切にしています。ですが今は価値観が多様化し、いわば正解の無い時代ですから、常にアンテナを張って居場所をつくる必要があると思っています。そのためには社員が自分たちで学んで、考えて、自分たちの居場所をつくっていくことが大事になってきますから、そういう学びの場や時間、費用を会社が提供し、常に学び続けていくという姿勢が大事だと考えています。

生産性向上支援訓練を
活用してからの変化は?

羽田さん従来は教育機関まで出張していたので、主に管理監督者が受講対象となっていましたが、生産性向上支援訓練の場合は、会社内で実施できるため対象が全社員に広がりました。受講できたことに対して一般社員から感謝の言葉を聞くことができたのも嬉しかったです。教育の成果は、ものづくりの技能とは違い、はっきりと目に見えるものではありませんが、一人ひとりの成長や外部環境に対する変動対応に成果を感じるなど、やってきたことは間違いないと確信しています。今後も継続していくことで、『自分たちの価値を高める』という文化を育んでいけると思っています。

一戸さんものをつくる力がついていると感じます。それは売上高でも見えてきています。ですが、数字よりも雰囲気とか、社員の会話の内容や仕事に対する視点、メンバーに対する視点みたいなものの変化の方が私は大きいと思っていて、『個の力がチームの力になっている』と感じています。社員が学び成長していくなら、経営者も成長し、付加価値の高い仕事をしていく経営をしなければいけないと思っています。それが良い結果に結びつくと私は信じています。

生産性向上・改善の
究極的目的は?

羽田さん私は二つの側面があると考えます。一つ目は『生産性向上・改善は利益の源泉』です。その利益を会社が維持継続に蓄えることや、設備投資、社員の処遇向上に充てることで、企業としての価値向上や成長に繋がります。二つ目は、『お客様に価値を提供』すること、そして『競合他社と差別化を図る』ことができます。お客様から選ばれる企業となるためには、生産性向上・改善は欠かせないものです。私たちの強みである『改善力』をもっともっと磨き上げていきたいと考えています。

一戸さん現在は心が弱り社会との繋がりを難しく感じている方や、グレーと言われる方がたくさんいらっしゃいます。そういう方たちが自力で生きていこうとする時、もっと世の中が優しくあるべきだと思っています。心も経済も健康で豊かでいるウェルビーイングを目指すなら、今始めなければ次の社会はないと思います。これからはそういう方たちを支援するスキルも学んでいきたいです。生産性向上支援訓練によって『人間力』を高めていけば、それこそが企業成長に繋がると私は思っています。

セブナグループ

セブナグループ
株式会社セブナ装機
所 在 地:
山梨県南巨摩郡富士川町小林2030
事業内容:
金属焼付塗装
有限会社エー・アイ・エーブラスト
所 在 地:
山梨県南巨摩郡富士川町小林2022
事業内容:
精密板金・各種溶接/製造装置の筐体、
パネルの製造

太陽電機
株式会社

太陽電機 株式会社
所 在 地:
山梨県南都留郡富士河口湖町小立4555
事業内容:
パワーエレクトロニクス製品等の受託製造