地域を生きる

300年の酒蔵を次の時代へ

 甲斐駒ヶ岳の麓、日本名水百選の地、白州に根を下ろして約300年。山梨県を代表する酒蔵山梨銘醸にお邪魔いたしました。お話をしていただいたのは、13代目当主北原対馬社長。
 日本酒市場は、1973年をピークに消費量は、現在4分の1程度まで縮小。消費者の嗜好の多様化など、日本酒業界は厳しい時代を生き抜いてきた。山梨銘醸も、同じように市場変動に翻弄されながらも現在の姿がある。ここまでの経緯と今後の方針について伺いました。

酒蔵山梨銘醸の仕事風景の写真1
事業を次世代に引き継ぐことが目的

 「経営の一番の目的は、この酒蔵を次世代に引き継ぐこと。自分は、長い歴史の中でバトンを次走に渡すために、今できることをする。」と北原社長。「ただ、事業を継続するには、その時代に寄り添った経営戦略は必要だし、市場での競争にも勝って生き残らなければならない。併せて持続可能な事業であることも重要だと思う。」とも仰っていました。
 山梨銘醸では、料理に合わせて選ばれる飲み物の一つとしての日本酒の捉え方、世界的なシェフ アラン・デュカス氏とのコラボレーションによる商品開発、カーボンニュートラルを目指したクリーンエネルギーへの切り替えなど、時代に合わせた経営に取り組んでいます。先人が積み重ねてきた長い歴史と、時代に合わせた革新とのバランスが取れた融合です。北原社長の会社経営方針は、幸福創造(お客様の幸せ、社員の幸せ、酒造りに関連する皆さんの幸せ)や感動創造と言った大きな理念に向かって、現実的かつ夢のあるビジョンが商品に反映していると感じられました。

代表取締役社長北原対馬さんの写真1 七賢の写真
今後のビジョン

 「これまでになかった商品の開発や、新たな分野への挑戦など、事業継続のために時代に寄り添い、今後も様々なチャレンジをしていきますが、山梨銘醸の醸造の基本が、白州の水であることは揺るぎません。この地で醸造を始めた精神と、今後もこの地で山梨県らしい日本酒を作り続けていくアイデンティティは変わらない。それは、会社としての心のよりどころでもある。」と北原社長の言葉は、心に響くものでした。
 海外への進出、高付加価値化の商品開発、日本酒文化をエンターテーメントとして捉える企業活動など、山梨銘醸の今後の活躍から目を離せません。
 一過性の活性化ではなく、大地にしっかりと根を張った営みが、この地を積極的に生きる礎となることを教えていただいた取材でした。

代表取締役社長北原対馬さんの写真2 株式会社シミズ貴石の社屋の写真

山梨銘醸 株式会社

所在地:山梨県北杜市白州町台ケ原2283
   TEL.0551-35-2236
事業内容:日本酒の製造・販売、食品製造・販売他