著者 諏訪 貴子
日経BP発行
1,600円(税別)
製造業は、女性経営者が活躍している企業もありますが、圧倒的に男性経営者が多い業界です。女性経営者が活躍している企業も経緯を確認すると、先代社長のお父さんが亡くなられた、引退により事業を承継するなどの際に、後継ぎに娘さんしかいないなどの理由で、製造業の女性社長が誕生するというケースが多いのが現実です。今回は、数年前NHKのドラマ10「マチ工場のオンナ」のモデルとなった原作者諏訪貴子さんの自伝「町工場の娘」を紹介します。お父さんの急逝から、会社を継ぐことになった女性社長の奮闘を描いた著作で、女性であるがための苦労も随所に語っています。諏訪さんの場合は、元々お父さんが娘に会社を継がせたいという想いがあって、大学も工学部、就職先も製造業と、ある程度の覚悟があって、超精密加工メーカーの経営者になったとも言えますが、その行程はやはり波乱万丈です。経営者として成長していく過程を読み進むうちに、経営者として重要なことは、男性・女性というジェンダーの問題ではなく、リーダーとしての姿勢や資質であることがよくわかります。諏訪さんのように先人の方が活躍されることや、社会の意識も変わって、女性の“でも、しか”社長ではなく、製造業界で当たり前のように女性経営者が活躍できる社会が一日も早く訪れることを願ってやみません。