湯村温泉街を抜けて甲府市街地を一望できる高台に、アロマトリートメントサロン〝BOA〟があります。熟練のセラピストであり、この店のオーナー 作道 美貴 さんが経営するサロンです。作道さんは、ポリテクセンター山梨の「建築CADサービス科(令和3年度10月開講)」の修了生で、紆余曲折を経て現在に至りました。女性事業家として活躍する作道さんに、これまでの経緯や今後の夢についてお聞きしました。
「人生って、色々ありますよね。自分としては、それまで波乱万丈の人生だったので、思い切った方向転換として、ある程度業界知識のある建築に関する実践的なスキルを身に付けて、その業界で頑張ろうと思い、建築CADサービス科を受講しました。ただ、年齢的に再就職に不安はあったのですが、チャレンジしなければ何も変わらないと言う想いで、6か月間ポリテクに通いました。」
その6か月の訓練期間中は、建築CADソフトの操作訓練はかなり苦戦したそうです。ただ、建築・リフォームに関する専門的な知識を身に付けたことと、ポリテクセンターを舞台にした様々な方との出会いが、その後の作道さんの職業人生に影響を与えていきます。
ご本人が危惧した通り、再就職はかなり苦戦し、訓練カリキュラムにある福祉住環境知識の学習を基に、福祉・介護分野に進みましたが、自分に向いていないことに気づき、訓練前に15年間続けてきたアロマセラピーの再開に踏み切ります。その行動を後押ししたのは、ポリテクで学んだリフォームに関する専門知識と、建築CADサービス科の先輩 イセダ マミコ さん(tete第3号で紹介)との出会いや、ポリテクで一緒に学んだ仲間の後押しだったそうです。イセダさんのサポートもあり、サロンをリノベーションし、2022年8月、前述の地に〝BOA〟をオープンしました。今では、好評判が広がり、月間平均40~50名の利用者が訪れるようになりました。
「お勤めの時は、セクハラ被害や、育児によるハンディキャップなど、社会的な課題・問題による負の要素はありました。そのような問題は、自分ひとりで解決できるものではないので、女性が楽しく活き活きと活躍できる仕事を選択することも大事なのではと思います。仕事でジェンダーを理由に差別があってはいけませんが、女性向きの仕事、男性向きの仕事と言われる業種・職種が完全になくなることはないので、女性向きの仕事を選択するのも、女性が仕事を継続していくための手段ではないでしょうか。」
作道さんの言う通り、全てをジェンダーギャップと捉え、完全平等という考え方は社会に閉塞感を生み、自由と活力を失う危険性もあります。女性であることをアドヴァンテージと捉え、安定した仕事、正当な評価を勝ち取ることも必要な知恵かもしれません。
「欧米に比べ、日本でのアロマセラピーの地位は決して高くありません。欧米では、制約は多くなりますが、メディカルアロマセラピーとして位置付けられています。自分としては、単なる美容としてのセラピーに留まらず、心と体の健康を目指し、レベルの高いサービスを提供していきたいことと、後継者も育成していきたい。今年は、イギリス政府が関与する国際セラピストライセンス取得を目指して勉強もしていきたいと思っています。」
ここでライセンスへの挑戦を公言したので後には引けなくなりましたね、と言う作道さんの表情は、どこまでも前向きで、活力に溢れるものでした。
●興味を持った仕事に就くために、ポリテクセンター山梨の訓練コースがマッチするのであれば迷わず挑戦!!
●自立した人生を歩むことが、ジェンダーを超える生き方!!