JR中央線小淵沢駅近くの標高900メートルの高原気候の地に、株式会社 鈴建 があります。北には八ヶ岳連峰、反対側は南アルプスの山々、東を見れば富士山が眺望できる素晴らしいロケーションを持つ社屋です。 製造業よりも更に男社会と言われる建設業界で、お父様の急逝を受けて建設会社の経営に奮闘する 鈴木 智恵 社長の現在に密着します。
2017年当時社長でもあったお父様が急にお亡くなりになって、お父様のご兄弟とともに会社経営を引き継ぎ、2022年4月に社長に就任しました。その当時のお話を鈴木社長にお聞きしました。
「父の急逝は予想もしない出来事で、その後の対応はやはり大変でした。幸い、父の存命中から対金融機関などの業務は、自分が中心になって対応していたので、比較的スムーズに財務関係は引継ぎが出来ました。ただ、実際の現場をどう回していくかは別です。自社は元請けの建設会社なので、多様な業種の職人さんや専門技術業の皆さんに支えられ、一緒になって現場を請け負うわけですから、父の時代のように協力してもらえるか、必要なスタッフを集約できるかなど不安で一杯でした。それまでは、経理や財務など内勤中心の仕事でしたので、管理の仕事は他の社員に任せ、とにかく現場に出ました。現場で職人の方々の段取りや仕事内容を把握し、現場での工程・安全・品質など理解できるようになり、現在に至っています。」
「建設業界は、女性経営者、現場技術者の女性の数はまだまだ少ないのが現実です。体力的に男性向きの職務が多いのも事実ですが、逆に女性向きの仕事も多くあると思っています。今後、人口減少にともない空き家も増え、リフォーム物件にも力を入れていければとも考えています。内装やインテリアに関する施主さんからの相談対応や、施工についても女性が活躍できる職務は多くあります。今後、現場ができる女性社員を増やし、チームを作って対応するなどの取り組みにも挑戦したいと思っています。」
「経営者として至らないところも多く、まだまだ未熟だと感じています。山梨県中小企業家同友会等での学び、他機関が実施しているセミナーなど、勉強する機会を逃さず学習し、経営者として成長して、現場で力を貸していただいている皆様の期待に応えていきたいと考えています。また、建設業は屋外の現場も多いので難しいこともありますが、女性が働きやすい環境整備を進め、女性の建設労働者を増やし、建設業のイメージが変わっていくような仕組みづくりにもチャレンジしていきたいと思います。
現在、公共事業の受注比率が高くなっていますが、弊社創業時軸であった民間工事の受注比率も上げていけるような経営努力も続けていきたいと考えています。」
建設業は、ご存じのとおり労働集約型の業界で、様々な専門工事業の技術者が一つの現場に集い、工程に沿って互いに協力し合って請負物件を形にしていくという特徴を持ちます。それぞれの業種・職種には、これまでの歴史から培われた風土、慣習や技があり、経験年数がものをいうのも事実です。ただ、労働人口が減少する一方で地域の実情や、デジタルテクノロジーによる効率化、器工具の進化など労働環境が大きく変化しているのも現実です。これからは、男女は無関係に、次の世代が働きたいと思える業界になっていくことが、建設業界にとって大事だと、鈴木社長が最後に仰っていたことが印象に残りました。