スイスのダボスで開催される世界経済フォーラムで毎年発表されるレポートに、ジェンダーギャップ・インデックス・ランキングがあります。政治・経済・教育・健康面でジェンダーによる不平等度を指数にしたレポートです。残念ながら日本は、調査対象約150か国中、常に下位に甘んじていて(2022年レポートでは116位)、ジェンダーによる格差が大きい国に分類されます。山梨県はその男女不平等が大きい日本の都道府県別で24位に位置します。女性が暮らしにくい国であり、地域であることを示す指標となっています。社会的な意識や政策が変わっていかなければ、このジェンダーギャップを大きく改善することは難しい課題ですが、今すぐ取り組めるものとして業種・職種での性別の偏りの改善があります。
平成26年当時、製造業・建設業への就職を目指すポリテクセンター山梨の各訓練コースは、女性受講者の比率が10%を下回っていて、製造業や建設業で働く女性の少なさをそのまま反映する状況でした。まずは、訓練から製造業や建設業を知ってもらう、その分野の専門知識・技術を習得してもらうことを目的に、「女性のためのものづくり仕事セミナー」を企画し、毎年実施してまいりました。その結果、今では受講者全体の30%前後を女性が占めるまでになりました。ほとんどの女性受講者は受講したコースの延長上の業種・職種に就職するケースが多く、結果として県内の製造業・建設業で活躍する女性も増える一つのルートも出来たと言えるかもしれません。今年5月10日に実施されたセミナーを誌上でご紹介します。
「女性のためのものづくり仕事セミナー」
今回の基調講話
Cheer up 代表
産業心理カウンセラー、
アンコンシャス・バイアスファシリテーター
etc.
●製造業には様々な役割がある。一面的なイメージで製造業を捉えない。
●製造業は国の経済を支える中心的な産業。女性も製造業を支える時代。
製造業は働きやすい、意外と知られていない。休みも取りやすい、
勤務計画が予め決められているなど。
●製造業にも興味を持って知ることかが大事。
適性があれば就職先として考えよう。
座談会レビュー
Q「製造業の会社では、女性が働く環境が整っているか?」
A「トイレ、更衣室などは以前に比べれば整備されている。女性を積極的に採用する企業ほど環境は良い。」
Q「なぜポリテクに入所したのか?」
A「年齢、未経験という理由で、求職活動で苦戦していたので、専門知識・技術を身に付けようと方向転換した。」
Q「6か月間の訓練生活の感想は?」
A「就職と言う同じ目標を持つ者同士で、助け合って良い人間関係ができた。」
Q「訓練中の就職活動は?」
A「施設の中に就職相談室があり、アドバイザーが個別支援をしてくれるので活用すると良い。」
経験者講話
前職を退職後、ハローワークにて知ったセミナーを経てポリテクに入り、5年前に3か月間のみ受講。早期に就職が決まり、現在に至る。CADを学んだからと言って、必ず、仕事に就けるわけではないが、こんな世界があることを知ったことが収穫。製造業では機械図面を見ることが重要となるため、ポリテクで学んだことが活かされている。向き不向きはあるが、こんな世界もあることを知ってもらいたい。
前職は天然石を扱う仕事。13年務め、45歳で退職。ハローワークにてポリテクを知り、生活に密着した仕事に就きたい想いから建築CADサービス科を受講。年齢も考え就職を焦っていたが、半年間は必要な時間と思い受講。現在はリフォームの営業から、アフターフォローまでのすべてを一人で担当。大変だがやりがいのある仕事。基礎を知っているだけでも心強かった。指導は親切丁寧、就職相談室でも就職相談を熱心にやってもらった。一生の友人にも出会えた。永い人生、豊かに暮らしていくためにも、一歩踏み出して就職に繋げてもらいたい。
次回開催予定 令和5年11月15日(水)