Column

障がい者の
職域拡大を目指して

  • 代表取締役
    赤池 侑馬さん

tete第3号「テーマ:共生社会を目指して」にもご登場いただいた「KEIPE株式会社」の新たな取り組みを紹介します。

2024年3月まで、県立美術館のレストランを運営していた事業者が降りることとなり、次の担当事業者を選定する県のプロポーザルに参加し、ユニバーサルレストランの実現と想いをプレゼンテーションした内容が評価され、当レストランの運営を担当することとなりました。

短い準備期間を経て、2024年5月1日にリニューアルオープンしました。代表取締役の赤池さんは、本格的な飲食業の経験もないことからプロポーザルに参加するかどうかも、だいぶ迷われたみたいですが、障がい者の方々の職域を少しでも広げたい、裏方の仕事ばかりではなく、表舞台での職務も増やしたいとの想いから、先駆事業者の事例も学び、助言も受けて引き受けることとなったそうです。

オープンして半年経過しようとしていますが、大変なことはありましたか

「オープンまでの準備期間が短かったこともあり、オープン当初はシステムが確立していないので、かなり混乱しました。また、飲食業の経験もないことから、適正な職務分担もわからず、チームビルディングができなくて、品質も安定できず、手探り状態で対応していました。やっと最近になって、職務の定義も、職務内容の分析もできるようになり、業務の見える化が徐々に出来つつあります。スキルの可視化ができれば、スタッフの担当ポジションもローテーションが出来るようになるし、業績評価、人事考課なども適正に行えるようになるので、働く方のモチベーションアップになるかなと思っています」

今後も「COLERE」の運営を継続し、どのような店舗経営をお考えですか

「この場所は、県の施設ですから、毎年プロポーザルを経るのかなど、こちらでは判断できないこともありますが、ぜひKEIPEに引き続き運営して欲しいと言われるような店舗にしたいと思っています。飲食業への市場評価は厳しいものがあって、関西で人気のあるユニバーサルレストランや、東京千駄ヶ谷で花屋を営むローランズさんなどのように、市場から支持されるお店になりたいと思います。そこに障がい者の社員も当たり前に働いていて、心身の不自由なお客さんも心置きなく楽しめる場所を継続して提供していきたいと考えています」

ウィズダイバーシティへの参加について

「障害者福祉事業者が営む就労支援は、どうしてもその事業のジャンルが狭くなり、障がい者の働く業種・職種の選択肢が少なくなります。中小企業が大企業のように特例子会社を設立するのは難しいので、企業と福祉事業者がスクラムを組んで多様な仕事メニューを持つ共同雇用の新しい仕組みには、大きな可能性を感じます。参加企業は法定雇用率を達成できる利点もありますが、何よりも障がい者の方の職業選択の幅が広がる素晴らしい取り組みだと思います」

障害者福祉とビジネスに区別がある構図は、逆に障がい者就労支援を特別なものとしてしまい、障がい者の方が様々な仕事で活躍し、生活していくことが当たり前と感じる機会を失わせるかも知れません。障がいの程度により、個別支援や配慮は当然必要ですが、個人の問題・責任として対応するのではなく、社会全体がその責任を負う社会モデルが定着していくことが、多様性社会と言えるのではないでしょうか。多様性を受け入れるのではなく、自分も多様性を構成する一人である事実を深く受け止めたいと思います。

「COLERE」で接客を担当する松本いつきさんにお話を伺いました

ホール
松本いつきさん

ホール/バリスタ
大久保洋文さん

「KEIPEでパソコン業務をしていましたが、今回、このお店のオープンに合わせて、接客業務を希望しました。お客様からのクレーム対応など大変なこともありますが、お客様から、美味しかった、素晴らしい接客だったと言っていただいた時は、やりがいを感じます。自分としては、一般企業のアパレルでの接客業に移行していきたいので、このお店で経験を積んで、自分の夢をかなえたいと思います。COLEREは、色々な障がいを持つ方々が明るく楽しく働いていることを多くの方に知っていただくことと、お食事を楽しんでいただければと思い頑張っています」

ユニバーサルカフェ&レストラン「COLERE(コレル)」はレストランのみの利用も可能です。芸術の森公園の散策がてらお寄りになってみてはいかがでしょうか。

【企業PROFILE】

KEIPE株式会社 甲府オフィス
甲府市丸の内1-15-2
第五丸銀ビル2階


ユニバーサルカフェ&レストラン
「COLERE(コレル)」
甲府市貢川1-4-27
山梨県立美術館内レストラン