世代交代・後継者育成 書籍:未婚と少子化

未婚と少子化この国で子どもを産みにくい理由

著者:筒井 淳也
PHP新書
定価:1,020円(税別)

2024年6月5日に厚生労働省が発表した人口動態統計月報年計(2023年)による「合計特殊出生率」は、「1.20」となり、8年連続で低下した。今号は、人口減少時代における「世代交代・後継者育成」をテーマに企画編集したが、人口減少問題への対応は何が必要なのかも考えなければ、人口減少の底が見えない。バランスの良い少子化対策を講じる上で、今回紹介する本書の見方は、「少子化対策=子育て支援」ではなく、それ以前に未婚化・晩婚化の問題にも取組む必要があるなど、少子化問題について違う視点で語られているのでぜひ参考にして欲しい。

本書では、そもそも日本の少子化対策に関わる政策立案やマスコミの少子化問題の伝え方の前提が、「結婚している夫婦」を出発点にして、出生数や出生率を取り上げている帰来があり、少子化の課題は子育て支援の強化により改善できるという錯覚に陥っているのではないかという指摘がある。専門家の間では、既に少子化の大きな原因は、未婚化や晩婚化であり、その社会的傾向に対する取り組みこそが重要だと言っている。結婚しない、結婚できない、子供を持たないという選択肢はどこから生まれてくるのか、子育て支援政策では対応できないもっと広く深い考察が必要だとも言える。この国が、将来どのような国を目指すのかによって、少子化対策への取り組み方、考え方が違ってくるが、いずれにしても、短期的に少子化、人口減少、高齢化の流れが変わることはない中、企業の世代交代、後継者の育成は待ってはくれない課題であることは言うまでもない。