山梨県中小企業家同友会の挑戦 激動の時代の人材育成

令和6年度、山梨県中小企業家同友会とポリテクセンター山梨は、変化の激しい時代を見据えて、中小企業における人材育成の仕組みづくり、社員向け教育訓練コースの実験的試行などを目的として、「人材育成研究会」を立ち上げました。

従業員規模が小さい企業では、経営者への依存度が高く、舵取りを一歩間違えば事業継続がたちまち難しくなるこの時代、人を育てられるリーダー層の育成が急務だと同友会共育委員会のメンバーも危機感を感じています。規模が小さくても、社員教育のシステムが機能し、世代交代もスムーズに行える体制を構築するにはどうすれば良いか、ソリューションを模索する研究会として1年間に渡って取り組みます。

研究会委員
山梨ユニフォーム(株) 代表取締役
田中 昇氏(同友会代表理事)

人を生かす経営は経営者の責任
同友会の理念である「よい会社をつくろう」「よい経営者になろう」「よい経営環境をつくろう」を実現するには、社員教育は避けては通れない課題で、多くの会員企業にその仕組みや習慣が定着していない現実が大きな課題である。人を生かす経営は、経営者の責任であり、人材確保難の時代、採用した社員を育成し、社員が辞めない会社を作ることが重要だ。
今回の研究会に期待すること
今回の取組みを通して、会員企業が抱える社員教育上の課題を把握したいことと、同友会で取り組んできた経営指針づくりを、実際に事業展開に反映できる組織を作るための社員教育を実施したい。特に中堅・リーダー層の育成に力を注ぎたい。

研究会委員
(株)ひまわり市場 代表取締役
那波 秀和氏(同友会共育委員会委員長)

リーダー層の育成が課題
同友会では、経営者の勉強会は積極的に行っているが、そこで学んだ理念を実現するためのリーダー層の育成が若干弱いと感じている。経営者の熱意をどう組織に反映するか、その為の社員教育が課題だと感じている。
今回の研究会に期待すること
各会社が大切にしている社是、事業のコアを社員全体が共有できるようになれる教育プログラムを、同友会として実施できればと考えている。社員が受動的ではなく、自立して行動できる環境を構築したい。経営者が変わっても、各企業の社員教育制度が機能し、次世代人材を育成できる幹部、リーダーの成長にも寄与できる仕組みづくりにも挑戦したい。

研究会委員
大進自動車工業(有) 代表取締役
齊藤 哲治氏(同友会副代表理事)

小企業こそ積極的に学習機会を確保すべき
従業員規模が小さい企業は、社員教育の時間が取れない。日々の業務に追われ、少し先のビジョンについて考え、対応することが難しい。経営者が描く将来像を共有するためにも、学習機会の重要性やその意味を経営者が理解する必要性を感じている。
今回の研究会に期待すること
外部の教育コースに社員を派遣し、その効果を業務に活かすサイクルを確立したい。その対策として、同友会が社員教育の機会を提供できる今回の取組みは意義があると考えている。社員教育取組のハードルを下げたい。

研究会委員
(株)セブナ装機/
(有)エー・アイ・エーブラスト 代表取締役社長
一戸 亜土
(同友会共育委員会委員)

社員教育に対する経営者の覚悟
学ぶ時間、学ぶ経費がないことと、OJTにおいても指導方法がわからない、教える人そのものがいない。中小企業の場合、社員教育に対する経営者の覚悟が問われるのでは・・・。
今回の研究会に期待すること
社員が保有している潜在能力を開花させられる学びの機会を提供できるようにしたい。社員が自発的に学習できる環境を整備したい。特に中間層のリーダー育成が急務だと考えていて、今回の研究会でその道筋をつけたい。

研究会委員
(株)鈴建 代表取締役
鈴木 智恵
(同友会共育委員会委員)

社員教育の計画も手つかずのケースが
少人数の社員規模では、研修しにくい環境がある。社員教育そのものをどのように計画し、実施評価していけばよいかもわからず、手つかずの企業も多いように思える。
今回の研究会に期待すること
経営者ではない、幹部、リーダー層の教育機会の充実と研修受講できる環境整備を同友会として図りたい。また、今回の研究会を通して、会員企業間で社員教育に関して共通する課題・問題点を明確化し、その解決策を提示したい。

研究会委員
山梨県中小企業家同友会 理事・事務局長
輿石 領史

自社が求める人材像の明確化を
経営理念を基にした自社が求める人材像を明確化できていないケースが多い。その為、採用基準も曖昧になりがち。求人活動は、経営者自らが、理念や経営ビジョンを語り、社員教育は経営者が最も重要視すべきだと考える。
今回の研究会に期待すること
社内で次世代や新入社員を教育できる幹部、中堅リーダーの育成につながる取り組みに期待している。
元々、同友会の活動の中心は、社員教育にあり、今回の研究会を通して、今一度原点回帰を図りたい。中小企業において、主体的、自主的で自立した人材が育つための根源的なメカニズムについても追究してしたい。