共生社会を目指して

 2021年9月に亡くなった経済評論家 内橋克人氏の著作に「共生の大地」と言う著書があります。第1刷が1995年ですので、30年近く前の著作です。その中で内橋氏は、市場原理に基づく社会の危うさ、格差拡大について、一貫して警鐘を鳴らしていました。協働の思想を背景に、共生社会の新たなパラダイムと多元的経済社会実現が必要不可欠だと訴えています。今、盛んに取り上げられるSDGs、持続可能社会実現には、お互いが多様性を認め合い、共生していくことが必要だと、30年も前から言っています。

 2022年10月2日(日)に、ポリテクセンター山梨で、「第42回山梨県障害者技能競技大会(アビリンピックやまなし)」が開催されました。オリンピックにパラリンピックがあるように、職業能力を競い合う技能五輪にはアビリンピックがあります。日頃、研鑽を重ねた職業スキルについて競い合う、世界大会レベルで約60競技に及ぶ大会です。目的は、障がい者の方が、職業能力を磨きその成果を競い合う場として、また、企業がそのスキルを掌握して、採用や職務適性を確認してもらう機会として、全都道府県で地方大会が開催されています。山梨県でも、毎年開催しており、成績優秀者は、全国大会へ出場しています。

2022年大会の模様を、
誌上レビューいたします。

 2022年大会は、「オフィスアシスタント」「ワード・プロセッサ」「データ入力」「表計算」「ビルクリーニング」「喫茶サービス」の6競技に23名の選手が出場し、その技を競いました(コロナ禍の関係で、ここ数年参加選手数は減少気味)。競技中は、緊張感と闘いながら、日頃の実力を遺憾なく発揮しようと、選手の皆さんの意気込みが観客にも伝わる白熱した大会となりました。ただ、残念なのは、一般観客数が毎年少数であること、障がいをお持ちの方が身近にいる関係者や、障がい者雇用に積極的な企業様に観客が限定されることです。主催者側の広報周知努力もまだまだ不足しているかもしれませんが、毎年感じるのは、このような大会への一般社会の無関心さです。メディアにも積極的に情報リリースし、協賛企業様にも多大なご支援をいただいているにも拘らず、一般来場者数が伸び悩んでいます。まずは、現実、実情をその目で見て、お互いを知ることが共生の第一歩だと考えています。今後も、この大会を県民の皆様に知っていただく為の、努力は惜しみなく続けていきます。

オフィスアシスタントの競技に参加する参加者の写真

オフィスアシスタント

データ入力の写真

データ入力

喫茶サービスの写真

喫茶サービス

アビリンピックマスコットキャラクターの写真
参加選手の写真1

アビリンピックは、仕事をしていく上で、
勇気や励みを与えてくれる。
日常的な仕事をしていく中で希望になる。
自分たちも頑張っている姿を知って欲しい。

もっと上のレベルを目指したい。
このような挑戦する機会が多くあれば、 スキルの向上に繋がる。

参加選手の写真2

 SDGsの17のゴールのひとつである「人や国の不平等をなくそう」を目指し、多様な個性を互いに受け入れ、アビリンピックが共生社会形成のきかっけの一つになれるよう、大会が進化していくことを望みます。

当日、観戦にお越しの企業様にご意見を
お聞きしましたので、その一部をご紹介します。

競技に臨む選手の皆さんの 真剣な姿を見て感動しました。

企業は、アビリンピックの存在を知らないのではないか。 実際に自分の目で見れば、障がい者雇用の状況も 変わってくるのでは…

障がいをお持ちの方々の、働ける環境を 作っていくのも、企業の役割だとつくづく思う。

障がい者の方の採用の参考になると思います。 まずは、現状を知ることが大事。

法定雇用率があるので、納付金を払うことで 対応する企業も現実にいるのでは…

多くの障がい者の方に戦力として 頑張ってもらっていて、自社では障がいを お持ちの方が職場にいて当たり前だと思っている。

企業様の写真

ご意見をお聞きした観戦企業様ご紹介

(株)ササキ
代表取締役 佐々木 啓二 様

(株)アルプス
代表取締役社長 金丸 滋 様

(株)ユニセン
代表取締役社長 河阪 義光 様

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