ワクワクできる社内設備で
働き手の「やりがい」と「満足」を創造

社会の変化に備える新工場、
幅広い年代の社員が、いきいきと働く

　韮崎市穂坂町にある「株式会社ササキ」は、ワイヤーハーネスの製造を通して「あらゆるモノ・ヒト」をつなぐ企業。同社が手がけるハーネスは、半導体製造装置などの産業機器に使われるほか、自動車R&D分野(レース関係)、航空・宇宙・防衛分野、理学機器分野など、高度な品質が要求される分野で高い評価を得ています。
　「ハーネスをもう少し分かりやすく言い換えれば「ケーブル」のこと。皆さんの周囲にも当たり前にハーネスがあり、普段からお使いいただいていると思います。ハーネスは古くからあり、目的に合わせてさまざまなタイプのハーネスが作られてきました。私たちが得意とするのは、製品精度が高いモノに利用するハーネスや、開発段階の製品に用いるプロトタイプのハーネス製造。高品質・高精度な一点ものをつくることです。」丁寧に教えてくれるのは、代表取締役佐々木啓二社長。プロトタイプに用いられるハーネスともなれば、設計変更も少なくはありませんが、ニーズに合わせて仕様を変えられるフットワークの軽さこそ、同社の強みとなっています。
　完成したばかりの新工場は、既成概念にある〝工場感〟をくつがえすような明るく、開放的な設計を採用。製造部門と管理部門がある2階フロアは壁を無くし、お互いがどんな仕事をしているのかが一目で分かるレイアウトとなっています。3階にある食事＆ミーティングスペース「ササキッチン」は、大きな窓から富士山、甲斐駒ケ岳、鳳凰三山を一望できる眺望自慢。晴れた日には、テラス席を利用する人もたくさんいます。また、「ササキッチン」にあるオープンキッチンは社員が自由に利用することもできるそうです。
　「本当の意味での健康経営を目指す会社」と聞かせてくれるのは、常務取締役村上良二さん。工場内には15種類ほどの最新鋭のマシンを揃える本格的なジムも完備。今後、社員を対象にトレーナーの育成講座を始める予定と言います。
　10代〜70代まで幅広い年齢の社員がいる同社は、誰もが活躍できる職場環境を目指すものづくり企業。「社員の技術指導にあたっているのは、74歳の範師(はんし)と呼ばれる女性です。こうして施設や設備、教育にこだわるのは、次の時代への備えでもあります。できるだけ多くのチャネルを持ち続け、社員がいきいきと働ける環境を整える。そうして、成長を続けられる企業でありたいですね」と、佐々木社長は楽しげに聞かせてくれます。

トヨタL&Fの自動倉庫導入により効率化を図る

宇宙分野の仕事も手がける事から個室には惑星にちなんだ名前をつけている

専門施設にもおとらないマシーンが並ぶ本格的なジム

健康な体であるかぎり社員のお手本に

　私は新工場3階に設けられた「道場」という場所で「範師(はんし)」として、初めてものづくりの仕事をする方々の技術教育にあたらせて頂いております。私自身の年齢は74歳。こうしたものづくりのお仕事には35年携わらせていただいております。
　範師の仕事の内容は、入社したばかりの若い方々にものづくりの基本的な技術を教えること。道場にはさまざまな道具を用意してありますので、身一つで来ていただいて、はんだ付けや圧着、ネジ締め、圧接といったものづくりの基本を学んでいただきます。皆さん大体1ヶ月ほどで最低限の技術を身につけ、ひとり立ちして現場に入っていかれます。
　現場でお仕事をしながらも、「もう一度勉強したい」という方や、「資格試験のために」と道場にもう一度勉強に来てくれる方もいます。道場には資格試験用の道具も揃えております。
　ここでのお仕事は、私にとってはとても楽しいものです。自分の子どもや孫と同じくらいの年齢の社員とたくさんお話ができますからね。高校卒業したばかりの若い方々には、社会人としてのマナーなどのお話をさせていただくこともあります。
　私自身もう74歳ですが、身体さえ健康ならまだまだ頑張りたいと思っています。そういう意味でも、いつも相談に乗ってくださり、柔軟に休みを取らせてくださる会社の環境もとても素晴らしいものだと思っています。

※株式会社ササキは令和3年度高年齢者活躍企業コンテスト「厚生労働大臣表彰最優秀賞」受賞