著者 太田 肇
株式会社PHP研究所
定価:990円(税別)
世界的に見て、企業の経費で就労時間内に社員教育を行う国は稀有な存在です。企業全体の力量がモノを言う大量生産時代には、社員の質が平準化された組織ほどビジネスに強い傾向にありました。当時、幹部から末端の社員に至るまで、階層教育による人材育成が積極的に行われており、Japan as No.1と言われる日本産業界の絶頂期の原動力ともなりました。(三種の神器には入っていない)
消費社会も成熟期を迎え、デジタルネットワークを背景としたDX社会も進展しており、企業経営にも大きな変革が求められています。社員の企業人としての成長を、企業組織の責任で行ってきた日本において、企業側の人材育成システムの構築だけではなく、当事者の意識の問題にメスを入れる時期に来ているのではないでしょうか。変化の激しい時代、受動的な成長機会による成長には限界があります。目標とすべき人材像があり、強い目的意識を持った人材でなければ、新しい競争社会において、組織に貢献できる者にはなり得ない時代ではないでしょうか。
デジタル社会における企業活動は、イノベーションが重要な鍵を握る時代。本書では利益共同体の論理で生きてきた日本企業の仕組みが、「消極的利己主義」、「挑戦しないほうが得」と言う個人意識を蔓延させ、イノベーションが起きにくい体質を醸成した原因になっていることを、わかりやすく解説しています。「部分最適」から「全体最適」へ、「する方が得」な仕組みへの変革が今こそ必要だと唱えています。
今号のテーマである「人材育成」も、企業がその仕組みを工夫して改善しても、社員個人のモチベーションが低ければ、その効果は期待できません。ビジネス界においても、メジャーリーグの大谷選手のような突き抜けた個の才能を活かせるチーム作りがイノベーションを起こせる存続可能な企業の条件ではないでしょうか。
著者 太田 肇
株式会社新潮社
定価:1,200円(税別)