新たな姿に再生
挑戦する事業者 3


デザインが清里の
未来を描く

1980年代、清里駅前とその周辺は、清里の原宿と言われ、タレントショップなどが立ち並ぶ街並みに若い観光客が殺到した時代がありました。その後、ブームが急激に終焉し、メルヘンチックな建物だけがそのまま取り残され、人通りが絶えた清里駅周辺。その清里に新しい風を吹かせようと取り組んでいる世界的なデザイナー〝中野シロウさん〟と清里との出会いから、現在に至るまでの足跡に迫ります。

lay set products
株式会社 ナカノグミ代表中野 シロウ さん

貴重なコレクションに圧倒される
“nakano museum”

デザインの仕事をする上で、東京に本拠地を置く必要もないと考え、地方を拠点としようと、様々な地域に短期滞在をし、デザインで街づくりをしたいと言う想いを抱きながら候補地を探している過程で、冬の清里駅前の街並みに出会ったのが、中野さんと清里のファーストコンタクトでした。他の地域では感じなかった、街の規模感、静まり返った街並みの面白さにすぐさま感じた可能性から、駅前の不動産7物件を購入しました。今年3月にオープンした「nakano museumHOTEL」は、営業を終えたペンションと隣接する現代アートの美術館を購入し、リノベーションした物件です。このmuseum & HOTELでは、中野さんがコレクションしたキャラクターギアなど3万点(ナカノコレクションの1/5)が展示され、ホテルに宿泊して展示物を思う存分鑑賞しながら清里の清涼な環境に身を委ねる贅沢な時間を過ごすことができます。

nakano museum hotel

nakano museum 展示スペース

HOTEL 室内

akano museum 展示スペース

nakano museum 展示スペース

カルチャーで清里再生

中野さんが描く清里の未来像は、サブカルチャー・ポップカルチャーの情報発信拠点として、新たなクリエーターが清里に移住したくなる、また、一般の移住者にも生活しやすい街を再生することです。これまで、30年以上放置され続け荒廃した物件にも、新たな役割を与え再生し、他の地域にはない個性ある清里を創り上げることです。そのためには、文化だけではなく、育児環境や医療施設など、未来に向けての整備も必要だと指摘します。中野さんは、決して昔の賑わいを再現したいわけではありません。時代に合った唯一無二の地域として、素晴らしい眺望、気候・風土を活かした文化の街清里です。地元の綿々と引き継がれている開拓スピリットと、県外移住者の新たな風とが融合して、新たなカルチャーが清里に芽吹くことを中野さんは思い描いています。

清里駅前直営店 古着&雑貨

清里駅前直営店 古着&雑貨

清里再生の覚悟

失礼ながら、中野さんが手掛けるkiyosato BRANDINGでは、事業者として大きな利益を得ているように思えないので、その点をお聞きしたところ、「利益より清里から情報発信することが大事!!住んでいる街の再生に貢献したい」そちらが最優先だと仰っています。清里に移住して4年、ここを終の棲家と定めて、腰が据わった街の再デザイン。遠大な清里再生物語はこれからも続きます。開拓時代から始まり、ポール・ラッシュ博士が清里の原型を描き、数多くの方々が清里の歴史に関わって汗を流してきました。そこに、中野さんと言う優れたデザイナーが加わり、新たな「Do your best and it must be first class(最善を尽くし、かつ一流であれ)」が始まる清里の未来に希望を感じる取材でした。

【企業PROFILE】

play set products株式会社 ナカノグミ
nakano museum HOTEL
北杜市高根町清里3545-3502