前職はWEBのお仕事。広告を配信したり、ECサイトの管理をしたりと、パソコンをツールにモノづくりや流通に関わる仕事をしていました。転職を考えたのは、家庭と仕事のバランスを見直すため。仕事をつい家に持ち帰り、夜中までパソコンを開いて作業してしまうことも多かったため、家族も困惑顔。それが原因で夫婦喧嘩になることも多く、ストレスを抱えていました。そんなことを背景に、転職を決めてポリテクへ。パソコンから離れる仕事に就きたいと金属加工科を選択し、溶接と出会いました。
シンプルだけど集中力が必要で、難しいけれど手をかければきちんとカタチになるから達成感もある。ポリテクの授業をきっかけに、私は溶接にすっかり夢中になりました。藤精機に転職して10年。現場で様々な溶接に携わったのち、今は女性初のグループリーダーとしてマネジメント業務を任せていただきました。
製造業というと女性が敬遠しがちなイメージがありますが、女性が少ないということは、活躍できるチャンスは未知数ということ。それに、細かい作業やコミュニケーションなど、女性の方が向いていると感じる点も多数あります。ポリテクのいいところは、普段の生活の中では触れることのない専門的な分野の扉を開くことができること。今では、仕事もプライベートも思い切り自分らしく楽しんでいます。
下の子どもが生まれることをきっかけに転職を意識するようになりました。以前の職場は食品産業。土日やお盆などに休みが取りづらく、家族とすれ違いになることも多々。子どもとの時間をつくりたいと考えていました。転職するといっても、未経験の世界に飛び込むというのはなかなか勇気がいるもの。そうして迷っている時にポリテクの職業訓練を知り、産業技術科(機械設計エンジニア科にリニューアル)を受講してみることにしました。
ポリテクの講義では図面の読み方や計測器の使い方など、実際の製造業の業務で役に立つだろうと感じる知識や技術を学ぶことができました。それだけではなく、驚いたのはワードなどのソフトや名刺の渡し方などのビジネスの基礎を学ぶ時間もあったこと。社会に出て数年経つと人に聞きづらくなるようなことも改めて教えてもらえたことも良かったです。
藤精機に入社して12年が経ちます。入社のきっかけはポリテクの企業実習訓練でお世話になったこと。業務内容も現場の雰囲気もすごく自分に合うと感じていましたので、安心感を持って転職を決めることができました。現在は品質管理として出荷する前の製品チェックの業務を担当。計測器で確認することはもちろん目視で確認する項目もあり、緊張感があります。品質の良い製品だけを出荷することはもちろん、問題をフィードバックすることで品質改良にもつながるため、やりがいを感じながら働くことができています。
創業は昭和43年。手溶接の技術に高い評価を受ける同社は、
生活の便利につながる製品を多岐にわたり手がけている
計測器の使い方はポリテクでも学んだそう。
「比較的スムーズに業務に入ることができたと思います」と宮沢さん
宮沢さんの業務は製品の出荷前の検査とフィードバック。
周囲とのコミュニケーションも重要になる
新藤社長を中心に、宮沢さん(左)と佐藤さん(右)。
学校行事や家族のことなども相談しやすい雰囲気があるという
藤精機株式会社は、設計から組立てまでオーダーメイドで対応する「精密板金事業」と、金型を用いて製品を大量生産する「プレス事業」の2つを主軸に事業を展開しています。「精密板金事業」は、半導体製造装置や、医療機器の製造、食品製造装置の開発、加えて近年は水素ステーションの開発関連に携わるなど、クリーンエネルギーの分野へも挑戦。一方「プレス事業」は、各家庭に設置されているスマートメーター(電力量計)に使用される端子など、製作に高い技術が必要な金型を用いる加工で事業の基盤を固めてきました。
私たちの身の回りにはソフトウェアを搭載した便利なモノが溢れています。つまり、私たちのモノづくりは、生活の便利に直結しているということです。製作・加工にはプログラムやロボットも使用しますが、手溶接をはじめ、複雑な加工には、必ず人の手が必要です。人の技術は、高い付加価値になります。モノづくりに興味を持ち、技術を身につけるために自己研鑽しようという志は、その後の社会生活でも武器になります。私たちもそういう前向きな方と一緒に働きたいと思います。