IoT化を進めるためには

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株式会社富士製作所、山梨県産業技術センター、ポリテクセンター山梨による座談会誌面レビュー!!

ポリテクセンター山梨による座談会の写真
学習後のyisPIPコミュニティ
参加のメリットは?

永田 学習しても、いざ、実践段階でハードルが高くなる。何から着手すれば良いのか、わからなくなってしまい、結局前に進めない。

三枝 yisPIPコミュニティには、簡単なシステムを構築できるオンデマンド学習メニューの提供や、コミュニティメンバーや産業技術センターが持ち寄った困りごとに関する解決方法が共有されていて、自分ひとりでは難しいと思われるような壁の乗り越え方の体験的アドバイスを貰えることが貴重だ。

永田 yisPIPコミュニティでは、実際のIoT化で起きる様々な課題が出てくるので、一般論が中心の研修プログラムよりも理解できる。

三枝 yisPIPコミュニティに参加してみて、IoT化を進める上でのスキルや知識不足を痛感したが、課題の解決力が身についた。

永沼 学習後に実例を見られるので、非常に参考になる。

製造業のIoT化推進のための
教育プログラムに必要なことは?

永田 経営者向けに概念論ではなく、具体的なスキルを理解できる教育プログラムが効果的。

阿部 単発のプログラムではなく、様々なステージごとに有効なプログラムが継続的に設定されていると良い。

三枝 実際の現場に即した、IoTによる課題解決型教育訓練プログラムが必要。

永田 教育訓練プログラムを受講して終了ではなく、その後の技術的なフォローアップが仕組みとして欲しい。yisPIPコミュニティはある程度その役割を果たしている。

永沼 情報の基本理論も大事だが、IoTのスキル習得がゴールではない。実践で役立つかどうかを考えたプログラム設定が必要だ。

DX実証フィールドに設置された稼働状況を可視化できるシステムの写真

DX実証フィールドに設置された稼働状況を
可視化できるシステム。

DX社会について

阿部 アナログ工程のデジタル化が、DXだと勘違いしている方も多い。X(トランスフォーメーション)のためにデジタルテクノロジーをどのように活かしていくかが大事で、企業の姿を時代に合わせて変えていける柔軟性と先見性を身に付けるためにIoT化が手段として存在する。正しい方向性で取り組めば、明確化される課題も変わってくるのではないか。

永田 IoT化を実現し、その後、企業として何をしたいのかが明確になっていない。省力化や自動化の余剰人員を、何の業務に従事させ、企業の成長を図るのか、将来ビジョンの明確化が重要。

永沼 DX社会化が進み、クラウドAI、RPA、完全自動化された生産機械などを、世界中の企業が活用したものづくりになると、基本的に製造は、どこで作っても同じ。これまでにない製品や、新たな価値を持つ製品など、市場が欲する世界観と言うか、かなり想定困難な社会になるのではないかと思う。それがDXなのでしょうが。

三枝 自社の強みを失わない、個性を見失わないなど、DX社会化に対応する中での重要な原理・原則だと思う。

トランスフォーメーション
今昔物語のテキスト
トランスフォーメーションを遂げた豊田自動織機が製造するトヨタL&Fのフォークリフトと自動倉庫の写真

トランスフォーメーションを遂げた豊田自動織機が製造する
トヨタL&Fのフォークリフトと自動倉庫

 今号でDX時代の製造業を取材させていただき、トヨタグループの人材育成支援を担当していた愛知県勤務時代のことを思い出しました。
 誰でもご存じだとは思いますが、トヨタ自動車は、1926年豊田佐吉発明のG型自動織機を製造するためにできた豊田自動織機から分社化された会社です。その歴史を垣間見ることができる「トヨタ産業技術記念館」が名古屋駅からほど近い場所にあります。入館してすぐ、歴代の自動織機が展示されていて壮観です。その後にトヨタ自動車1号車の木型が展示してあり自動車産業時代へと移っていきます。その工業製品の沿革を見れば、まさに時代に合わせた壮大なトランスフォーメーションであり、業態変革は今始まったものではないことを自分の目で再確認することができます。
 また、同じく豊田佐吉の動力織機製造を目的として設立された豊和工業と言う企業は、現在、防衛省への主要軍需機器供給メーカーになっていて、この事例も大きなトランスフォーメーションを遂げています。ちなみに、今号で紹介したIT化のための製品ベンダーである「トヨタL&F山梨」のフォークリフトや自動倉庫は、豊田自動織機が製造しているものです。これまでの産業の歴史を見ればトランスフォーメーションは今さらと言う出来事なのですが、デジタルテクノロジーを背景にした変革要求は、そのスピードが違うことを改めて感じる取材でした。

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